2018年12月20日木曜日

林亮「冬田ではなくあきらかに霜の景」(『瞭』)・・



 林亮句集『瞭』(私家版)、『高知』『高遠』に次ぐ第5?句集である。「あとがき」に、

  前句集「高遠」(平成二十八年十二月刊)以降の約二年刊の作品の中から、六百四十句を選んでみました。句集の名の「瞭」は、私のあこががれの世界でもあります。

 と記している。さらに、

 俳句のおかげで、退職後も充実した日々を送ることができました。これからも「草苑」に学んだことを大切にしながら、俳句に向き合っていきたいと考えています。

 と、どこまでも謙虚である。句集名の「瞭」は「あきらか」である。付会かもしれないが、ブログタイトルにした句「冬田ではなくあきらかに霜の景」はそのひとつであるにちがいない。ともあれ、集中より、いくつかの句を以下に挙げておきたい。

   どちらかに降る別れ雪忘れ雪     亮
   風雨には到らぬ風と花の雨
   風出づるたびの白さのしらはぐさ
   風船をなくせし覚え空になく
   糸蜻蛉空にもまして水は晴れ
   窓ごとに海の嵌まれり海の家
   風の死を風鈴の音の暗に告ぐ
   竹の花これほど咲くは地の病
   枝打ちの音の多くは地に落ちず
   道よりも冬ざれてゐる道しるべ
   凍つる余地なほ凍蝶にありにけり
   火の中に手袋己が手をひらく

 林亮(はやし・まこと)昭和28年、高知県生まれ。



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