「俳句人」700号(新俳句人連盟)、特集は「『俳句人』700号」と、平和特集「ジュゴンが泣いている〈沖縄・辺野古新基地ノート〉」である。前者の特集には、特別寄稿として中村和弘「田川飛旅子/古沢太穂先生にロシア語を学ぶ」、田中陽「俳諧自由」、角谷昌子「気骨の俳人古沢太穂を通じて」、石川文洋「時代と共に俳句も生きる」であり、その他、新俳句人連盟の方々の700号に寄せる思いが掲載されている。中では、田中千恵子「『俳句人』700号の年輪」は500号、600号の再録を含め、現在から「700号に向かって」のなかで、いかに多くの先人の力と努力が結集されてのものであるか、ということと、今後の決意表明として、
(前略)一ヶ月毎一年毎これからも積み重ね、決して休むことなく持続してゆくことが七〇〇号への道である。光あふれる道である。いのちある限り書き続け、共に歩いていこうではないか。
と結んでいる。また、特別寄稿のカメラマンの石川文洋は、
(前略)私は句は詠めないが写真で表現する。二〇一八年七月、北海道宗谷岬をスタート、今年の六月、沖縄・那覇市にゴールインした。その間に三万五〇〇〇枚くらい撮影した。旅と酒の好きなところは山頭火に似ている。
辺野古の土砂投入を陸上・海上から撮影した。カメラを持った現代の山頭火だ。七〇〇号刊行の間に亡くなられた投句者も多いだろう。しかし、時代を詠む俳句は現在、未来へと引き継がれいく。『俳句人』は永遠に不滅と思っています。
と記している。角谷昌子は、
(前略)太穂もまた、厳しい俗世間の大波の中で、信念を貫くために俳句に救われたに違いない。この世には人種的偏見や性差別、虐待などさまざまな問題が山積みだ。自然災害、国家間の対立も顕著である。社会に目を向けつつ、俳句に向き合うのも、いま創作者として求めらる姿勢ではなかろうか。
と述べている。ともあれ、以下に、平和特集「ジュゴンが泣いている」の「俳句とエッセイ」の欄から拙句を含めて一人一句を挙げておきたい。
天河(ティンガーラ)ホモサピエンスの魂(たま)返る 野ざらし延男
石を投げれば言葉が死んで吃るクレーン 大井恒行
ジュゴンとは自由な真言のごと生きる 中村加津彦
なかんづく沖を真青に慰霊の日 山本つぼみ
犀魚(ザンヌイユ)はいずこ砂利噛む夏怒濤 飯田史朗
土砂泥海ジュゴンの泪恨みです 入江勉人
大陸のウンカ飛来す大飢饉 吉平たもつ
ジュゴン撫でたいオジイオバアと座りたい 大内秀夫
玉砕碑浜昼顔の咲き灯す とみながのりこ
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