2021年12月28日火曜日

木村リュウジ「風花に舟という舟やせてゆく」(「海原」NO.35)・・   

 

 「海原」NO.35(海原発行所)、中に、木村リュウジ追悼のページがある。享年27、去る10月20日の自死を、酒巻英一郎から伝えられた。その若い、ナマイキな青年のことは、若き友への友愛をもって語っていた仲間の武藤幹からも知らされた。「海程」から「海原」へ、そして、愚生は何よりも「LOTUS」誌によって知っていた。多行表記の句をも試みていた。これから、さらに注目されるであろう俳人の一人であった。その遺句抄と文・宮崎斗士「君はこれからも」に、


 (前略)享年二十七。戒名「蒼龍俳諧信士」ー。

 彼との初めての出会いはかつて埼玉県大宮で開催されていた「海程」東京例会だった。その頃、金子先生のお体のコンディションが思わしくなく、ご欠席が続いていた。(中略)結局、彼は一度も金子先生と対面することができなかった。

 彼は2017年に自律神経失調障害、神経症との診断を受け、その後もずっと心療内科に通っていたらしい。心の中に爆弾を抱え、その導火線に火が点いたら消し・・を繰り返しつつこれまで生きてきたのだろう。(中略)

  死と生の交わるところ揚雲雀    リュウジ  (中略)

 そういうわけで蒼龍俳諧信士よ、向うで海程院太航句極居士さんという方にお会いすることがあったらー「お会いできたらお聞きしたいことがたくさんあります!」って言ってたよねー俳句の話で心ゆくまで盛り上がって下さい。 

 そして、君はこれからもー


 とあった。ざっと、本誌本号を通覧しただけで、亡き金子兜太はもちろんのこと、現在の「海原」には、愚生の現俳協青年部時代より、お世話になった方々の名がづらり見とえる。また、まみえることを願って・・・。できるかぎり、以下に句を紹介しておきたい。


  字余りの余生見えたり神の留守      安西 篤

  八方に雪山虚空蔵菩薩かな        武田伸一

  白き帆が夏の痛みに耐えている    木村リュウジ

  深緑へごくごく極と神が鳴る       佃 悦夫

  小室家に嫁ぎし秋篠宮家の長女なりし   福富健男

    木村リュウジ氏を悼む

  白鳥よせめてほほえみ天翔よ      堀之内長一

  いちめんに渋柿ため息に似たやつを踏む  森田緑郎

  はらからや正面切って降るもみじ     山中葛子

  筆談やみるみる鰯雲のように       若森京子

  伸ばした足の明るさ花カンナ       加川憲一

  花野などバンクシーには似つかない    並木邑人

  ぶらさがる凍蝶として思考中       前田典子

  ひとつ減るポスト先生冬ですよ      松本勇二

  犬抱けば犬も木霊を待ちをりぬ     水野真由美

  からすうり妻はグサッと消去法      宮崎斗士

  あかのままあだちがはらのあやとり    山本 掌

  銀漢や生きなば用ひ糸切歯        柳生正名

  書を曝すわが若き日のペンネーム     市原正直

  朝焼けを蹴散らし朝日昇りけり      内野 修

  色即是空問題は秋の雨          大西健司

  のど自慢すぐに退場野分晴れ       小野裕三

  羊歯図画工作室へなだれるよ     こしのゆみこ

  あきらめも怒りも揺れて秋桜       佐孝石画

  きらきらとぎらがなの国木の実降る    白石司子

  独り身っぽい男が夫しゃくとり虫     芹沢愛子

  鹿を呑む鮭を呑む谷祖(おや)を呑む   十河宣洋

  晩秋のピアノ戦禍も時疫も        田中亜美

  ゆっくりと使う月光の手のひら     月野ぽぽな

  浅間からポリネシアまで鰯雲     マブソン青眼 

  あっちむいてホイこっち見ない裸木   らふ亜沙弥

  誰かいつも遅れる集い草紅葉       片岡秀樹

  やぶからし一行目からまちがえる     河西志帆 

  まんじゅしゃげ一つの旗は燃えやすい   武藤 幹 

  台風接近真っ先に飛ぶ口約束       石川青狼



     芽夢野うのき「椅子ひとつ狐のてぶくろ忘れあり」↑

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