2014年2月1日土曜日

「地にプルトニウム梢に鳥交む」河村正浩・・・ 


タイトルの句を収めた河村正浩句集『秋物語』(やまびこ出版)は様々な工夫を凝らした句集である。意匠のことではない。
著者の「一般の方々に少しでも興味をもって頂けたらとの思い」で、俳句用語らしいものには、ルビや解説(注)が付いている。
小学生になったつもりでの句作などもあるが、何と言っても、冒頭の章の「忘れない三月十一日」、続いて「沖縄慰霊の日」、そして、作者が地元の縁の深い人間魚雷「回天」を詠んだ「続・嗚呼回天」の句群は訴える力のある作品だ。

     一握の砂は骨片沖縄忌        正浩
     報国・特攻・英霊卯の花腐しかな

「卯の花腐し」には、俳人ではない読者を想定して注釈がついている。次のような・・

 〈卯の花腐し(うのはなくたし) 卯の花(花うつぎ)を腐らせるように降り続く雨のこと。
 
他に、自由律を試みた句もある。
    
     蟻の群がる不発弾のような虫
     夕日を背負って影が戻る
       平成二十一年一月妻死去
     その一言が言えなかった妻よありがとう


*閑話休題・・
 新宿の損保ジャパン東郷青児美術館に寄った。「クインテットー五つ星の作家たち」で「風景」をテーマにした作品群でおおむね1960年代後半生まれの画家たちであった。五つ星の作家は児玉靖枝・川田祐子・金田実生・森川美紀・浅見貴子の五人。
ともあれ、損保ジャパン東郷青児美術館といえば、何といってもゴッホの「ひまわり」、ゴーギャン「アリスカンの並木道ーアルル」、セザンヌ「りんごとナプキン」の常設、山口華陽、東郷青児である。


                    ジンチョウゲ↓

0 件のコメント:

コメントを投稿