2017年8月2日水曜日

柴田千晶「アイロンの胎内に水春の星」(「hotel 第2章no.40」)・・



 「hotel 第2章 no.40」(hotelの会)、詩の同人誌で、久しぶりに読む機会に恵まれた。柴田千晶は詩ではなく俳句作品だった。巻尾の同人諸氏の近況報告によると、「俳壇」(本阿弥書店)のエッセイ「地名を歩く」という連載が始まったことと、「術後一年が経ち、とても元気になりました」とあった。本号の「8ミリ」と題した作品の多くはその術前、術後の句群15句だった。暑さ厳しき折りのご自愛を祈る。
 因みに、たまたま手元にあった「俳壇」7月号には「⑦我老林」(連載・地名を歩く)のことが書いてあって「がろうばやし」と読むのだそうである。それは、柴田千晶の畏敬した詩人・阿部岩夫の生地だという。
 ともあれ、以下にいくつかを挙げておこう(愚生の好みの句は最後の「栗の花」かな・・・)。

   8ミリの悪性腫瘍白木槿        千晶
   造影剤に焼かるる裸身蔦紅葉
   甲状腺濾胞性腫瘍銀杏散る
   手術前の首も暮れたり冬の海
   石蕗の花母に抱かれてみたき日の
   BGMはゴスペル二月の手術室 
   麻酔より覚めて見知らぬ冬座敷
   六十日目の傷痕の透く春ショール
   栗の花静かな家の静かな犬






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