2018年5月16日水曜日

伊丹三樹彦「白寿とや 年の新(あら)たも摂播で」(『伊丹三樹彦白寿記念誌』)・・


 
 『伊丹三樹彦白寿記念誌』(沖積舎)、巻頭の伊丹三樹彦近影には、本年「平成30年1月2日 明石稲爪神社前にて 撮影*伊丹啓子」が掲げられている。自身の「白寿の会に万謝して」には、

 私は1920年生れの大正人間だ。今年は数えで白寿となった。マンションでの独居暮しの身に、月例四度のサロン句会には攝播の句友が集う。その席上で、「青玄」同窓会も兼ねての祝賀会を開きたいとの声が出た。牧野すず子を主とする発起人の人たちである。サロン句会の「土日会」「三樹門会」「三樹賛会」合同であ。昨冬は初の合同吟行を播州福崎の應聖寺でした。

とある。「摂播」は「摂津と播磨」のこととあった。伊丹三樹彦は2005年7月10日脳梗塞で倒れ入院し、「青玄」も607号(2006年1月号)で終刊、闘病の末の復活、というより以前にもましての句作三昧である。記念誌にふさわしく、三樹彦の年頭吟他の作品に加えて、たむらちせい「伊丹三樹彦の俳句人生」、伊丹啓子「伊丹三樹彦の歩んだ道」、伊丹啓子・小嶋良之・鈴木啓造・政成一行の「鑑賞・三樹彦の一句」、また「伊丹三樹彦著書目録」、「伊丹三樹彦・公子句碑一覧」、「伊丹三樹彦受賞歴」など、伊丹三樹彦の全貌の基礎資料を求めるには、よい資料ともなるはずだ。金子兜太とは、現代俳句協会の興隆に尽力した盟友であり、その俳句活動においては、日野草城門下、新興俳句出身最後の生き残りでもある。益々の長寿を祈念したい。
 さらに同封されてきた誌「駅」第65号には、愚生がかつて久保純夫らとともに「獣園」創刊同人であった城喜代美の作品に数十年ぶりにめぐりあった。同誌同号掲載の伊丹三樹彦句ととも以下に挙げておきたい。

  池や川や海や 城崎の水変化(へんげ)    伊丹三樹彦
  烏瓜哀しきまでに朱を灯し          城 喜代美


       

★閑話休題・・・・

 一昨日、5月14日(月)、新宿・京王プラザホテルで行われた「株式会社文學の森創立15周年祝賀会および各賞贈賞式」に出席した。愚生は、実に久しぶりに旧知の方々ともお会いすることができた。
 因みに第8回北斗賞は、堀切克洋「尺蠖の道」、選考委員からの言葉は鳥居真里子。第19回山本健吉評論賞は、小沢麻結「行方克己第一句集『無言劇』を読む」、選考委員からの言葉は大輪靖宏、小林貴子。第10回文學の森大賞は坂口昌弘『ヴァーサス日本文化精神史』、藤木俱子『星辰』,選考の言葉は今瀬剛一。また、今回は、就任なった新社長・寺田敬子、新編集長・河口静魚の抱負の挨拶もあった。姜其東は会長職に。


    

                                 文學の森 社長・寺田敬子↑


「俳句界」編集長・河内静魚↑


第10回文學の森大賞 坂口昌弘↑


           第8回北斗賞 堀切克洋(左は選考委員の鳥居真里子)↑

                                 

撮影・葛城綾呂 ハナカタバミ↑

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