「垂人」42(編集・発行 広瀬ちえみ/中西ひろ美)、作品と句会レポートが主、それぞれ、様々な試みがなされているが、ここでは、鈴木純一「江戸越道中双六(とごしのみちをすたすたあるく)」の吟行記の選句方法について記された部分を紹介しておきたい。
(前略)垂人の句会には四種類の選句(選考基準)がある。
①並選 ②特選 ③後出し ④逆選
の四つ。
①並選は とくに選句数を決めない。
「一人七句ぐらい」 「好きなだけ」で、自由。
②特選、③後出し、④逆選の三つは、パスしてもいい。義務でなく権利だから、行使してもしなくてもいい。②特選を一番多くとった句には「特選賞」が出るかもしれない。今回は出た(「湯葉の詰合」だったようだ)。
③「後出し」は、ほかの人の評を聞いた後で、しかも作者が分かった後で、「じゃ、私も」と点を入れる。ほかの句会ではこんなことは許されない。
④「逆選」はふつうダメで、下手で、失礼な句を選ぶ。作者にとっては不名誉なことだ。ところが垂人では逆選が入ると作者は喜ぶ。理由はやはり賞品だろう。今回は(特選賞よりいい?)巨峰の詰合」のようだ。特選を獲るより、技術的にも気持的にも楽かも。
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もちろん俳句は勝ち負けじゃない。内容だ。
愚生も、この選句方法を採用してためしてみようかしらん。ともあれ、本誌本号より、一人一句を挙げておこう。
出口雪、出口雨、風どれにする 高橋かづき
棚田の中の台(うてな)より呼ぶ榮市忌 渡辺信明
一丁目一番地一戸建て空梅雨 中内火星
道ばたのマリーゴールド的あした 広瀬ちえみ
靴音の群集心理春の泥 ますだかも
茅の輪潜りそのまま己れに抜けてゆく 川村研治
一生は祭のごとしといつ言はむ 中西ひろ美
聞き慣れぬ男の音が来て黙る 野口 裕
★閑話休題・・森澤程・津髙里永子「~ちょっと立ちどまって~」2022.8・・
以下に一人一句を挙げておこう。
雲の峰ひとりになればくもる癖 森澤 程
浮世の身浮かす虫籠吊しけり 津髙里永子
芽夢野うのき「白曼珠沙華白く生れて幸せか」↑
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