2020年5月7日木曜日

渡邊白泉「「眼の凍てし教師と我もなりゆくや」(「円錐」第85号より)・・・





 「円錐」第85号(円錐の会)、特集は「今泉康弘評論集『人それを俳句と呼ぶ』」、特別寄稿の論考に、木島泰三「歴史書であり思想書であり文芸書でもある評論集」、田沼泰彦「それを俳句と呼ぶ人への二通の手紙」、堂野前彰子「昭和という時代」、鈴木純一「日高川恋鱗(ひだかがはこひのうろくづ)」。この「日高川恋鱗」のみが論考というよりも歌舞伎の台本めいた創作で今泉康弘の「日高川指先入れて鱗めく」の句を想に得た脚本風仕立てになっている。これら特別寄稿のタイトルをみれば、評論集『人それを俳句と呼ぶ』の内容が想像できそうである。べつに、本誌には、実地に白泉の同僚や教え子にあたり、白泉に関する貴重なエピソードを記した今泉康弘「でかい真実(まこと)の花みたか成田真洞(しんどう)さん・木村重一(しげかず)さんに伺う渡邊白泉の沼津時代」が読ませる。もうひとつの本誌本号の柱は、第4回円錐新鋭作品賞発表である。詳細はネットでも公開されているようだから、直接、本誌に当たられたい。ここでは、新鋭作品賞各賞から一人一句を以下に挙げておきたい。

    花車賞(澤好摩推薦) 来栖啓斗「夜の学校に手紙を置いてきた」
  春めいてもう永遠の子どもたち     啓斗
    白桃賞(山田耕司吸推薦) 千野千佳「適当」
  門松やうどんにつける小ビール     千佳
    白泉賞(今泉康弘) たかなしあきら「窓がひとつだけあいてゐて」
  ぎしぎし
  あざみ
  草の時刻は
  いつも夜              あきら

 またほかに、本号の特別作品の中から一人一句を以下に挙げておこう。

  手探りの手で搔きさがす春の闇      八上新八
       【搔きさがす】・・・搔きまわす
  轟然と波が波追ふ枯岬          丸喜久枝
  鯨放送夜通し流す星のオペラ      原田もと子
  雑草の一冬あをき収用地         小林幹彦 



フラワームーン↑

★閑話休題・・・春風亭昇吉が「風信子(ヒヤシンス)数にあまれる失意あり」の句で、5月7日(木)、TBSプレバト・才能アリ!一位獲得!・・・


 春風亭昇吉は、遊句会の一番若いメンバーである。ほぼ毎回出席し、参加できない時は、必ず欠席投句をし、けっこういい点を得ていたが、普段は落語家らしい人情ものの句も作る。ただ、テレビ出演の折は、いつも東大出の落語家云々という、キャッチで出ることが多いのだが、遊句会の折は、一人で年寄り連中に水割りを作ったり、気働きのできる好青年の印象である。が、今回の句は深読みのきくポエジーのある句で、まさかの一位!才能アリ!と夏井いつきに褒められていた。今度、夏井いつきに会う機会が在ったら、愚生と知り合いで、一緒に句会をやっています・・・と伝えておいてほしいものだ。



撮影・鈴木純一「春嵐ブルーシートは何故青い」↑

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