2020年5月28日木曜日

ねじめ正一「稽古場にあん馬持ち込む麿赤児」(「猫町」NO.1/5月号)・・




 「猫町」NO.1/5月号(発行人:三宅やよい)、NO.1だから創刊号には違いないが、それらしい言葉も何もない。唯一、表紙裏に萩原朔太郎『猫町』よりの「私は昔子供の時、壁にかけた額の絵を見て、/いつも熱心に考え続けた。(以下略)」の数行が献辞されている。10名ほどの同人での出発であろうか。坪内稔典の巻尾の5句は特別扱いだろう。 基本は各人の句とエッセイで、各人に見開き2ページを自由に使えという構成である。とはいえ、中に、創刊号らしい言葉を近江文代は、

  猫町(necomachi)ついに創刊!それにしても、何というスタートだ。書きたくはないが書いておこう。(中略)
 これが遺作にならぬよう、しっかりと生き抜いていこう。

 と書きつけている。ともあれ、以下に、愚生好みになるが、一人一句を挙げておこう。

   春愁の猫町からのお引越し       赤石 忍
   春うらら濃厚接触まで三歩       今泉秀隆
   朧月もう口開けて泣きましょう     近江文代
   分断の壁の隙間のホッカイロ       沈 脱
   長嶋茂雄春夏秋冬桜咲く       ねじめ正一
   永き日の水につかっている昆布     藤田 俊
   げんげ田を鴉の声で走り出す     三宅やよい
   一番に教室を出て卒業す        諸星千綾
   空に頭ぶっつけたい日のブランコよ   山崎 垂
   永田町二丁目三丁目ちんちろりん  芳野ヒロユキ
   行く春の黒猫の目にゆきあたる     坪内稔典



     撮影・芽夢野うのき「はつなつの花白くつむ幻舟よ」↑

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