2022年9月15日木曜日

広野草雄「盆花に恰好 俺の育成アキノキリン草」(「主流」650号より)・・


 「主流」650号(主流社)、その編集後記に、田中陽は記している。


 安倍元首相の争議を「国葬」とすると政権が発表したとき、咄嗟に僕は少年時代の山本五十六元帥の国葬を想起した。あの時は戦争中で、国家権力が国民の総て(・・)を戦争のために強制した時代で、僕ら少年までもそれに同調したものだったが、今は民主憲法の下の国民主権の時代、負の要素を抱え込む元首相を国葬(全費用を国民の税金で賄う)にしてよいか否かは小学生でもわかる筈です。


 と・・。特集は「広野草雄追悼」である「令和四年三月六日、老衰のため死去された。九三歳」とあった。追悼文は藤田踏青「土に根ざした作品群/広野草雄句集『雪柳』、川名つぎお「広野草雄が屹立ー句集『雪柳』を謝すー」、田旗光「親しみの山形、そして農」、伊藤眞一「生活者への讃歌」、荒木みゆき「広野草雄さねお悼む」である。その藤田踏青は、


   もっこの土が重すぎてからすの言葉わからない

 作句当時(昭和三〇年代)は社会性論議が盛んであり、そう言った意味でも「土」とは農民の血であり、「からすの言葉」とは高い処からの空虚な言葉と解しても良いのでは。つまりは身体から発せられた呻きのような句と考えられます。(中略)

   仕舞の籾袋かつぎ 夕日の拍手

   転作失敗 雉は一目散に逃げればいい

   米作りやめたこと知らず機械ら眠っている


 と記している。ともあれ、本誌より、一人一句を挙げておこう。


  争いのない国はないか社会科教室の地球儀   金澤ひろあき

  三日月が見えるそれだけのそれだけで       鈴木瑞穂

  こすもすの揺れ休耕の田を埋める         神谷司郎

  新藁濡らすまい にお積む父子の日暮れ      広野草雄

  詮索するな鏡の俺に言い聞かす          田旗 光

  余生とはまだいかぬ朝の味噌汁          植田次男

  戦車を避けて避けて南瓜の蔓           鈴木和枝

  そう言えば上皇様の誕生日           大須賀芳宏

  夏空はじまる水の息               野谷真治

  フェティシズム赤いポッチを押したがる     とくぐいち

  生きた日日翅に閉じてる秋の蝶         榎本有嵯微

  マスクで口封じ戦争がやってくる         坂部秀樹

  蔦兵士鉄条網を乗り越える            伊藤眞一

  嬉しくも淋しくも咲く花を摘む          鈴木喜夫

  空気ぬくとい エアコン付けても切っても     伊藤浩済

  炎天へ波間を駆けるうさぎ達           萩山栄一

  国葬や三輪明宏のヨイトマケ           田中 陽



       撮影・中西ひろ美「姫の行く先に野葡萄蛇葡萄」↑

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