2022年9月9日金曜日

中西ひろ美「なほ深くならむと雪は降りにけり」(「垂人(たると)」42)・・

 


「垂人」42(編集・発行 広瀬ちえみ/中西ひろ美)、作品と句会レポートが主、それぞれ、様々な試みがなされているが、ここでは、鈴木純一「江戸越道中双六(とごしのみちをすたすたあるく)」の吟行記の選句方法について記された部分を紹介しておきたい。


 (前略)垂人の句会には四種類の選句(選考基準)がある。

 ①並選 ②特選 ③後出し ④逆選

の四つ。

①並選は とくに選句数を決めない。

「一人七句ぐらい」 「好きなだけ」で、自由。

②特選、③後出し、④逆選の三つは、パスしてもいい。義務でなく権利だから、行使してもしなくてもいい。②特選を一番多くとった句には「特選賞」が出るかもしれない。今回は出た(「湯葉の詰合」だったようだ)。

③「後出し」は、ほかの人の評を聞いた後で、しかも作者が分かった後で、「じゃ、私も」と点を入れる。ほかの句会ではこんなことは許されない。

④「逆選」はふつうダメで、下手で、失礼な句を選ぶ。作者にとっては不名誉なことだ。ところが垂人では逆選が入ると作者は喜ぶ。理由はやはり賞品だろう。今回は(特選賞よりいい?)巨峰の詰合」のようだ。特選を獲るより、技術的にも気持的にも楽かも。

      ▼

もちろん俳句は勝ち負けじゃない。内容だ。


 愚生も、この選句方法を採用してためしてみようかしらん。ともあれ、本誌本号より、一人一句を挙げておこう。


  出口雪、出口雨、風どれにする      高橋かづき

  棚田の中の台(うてな)より呼ぶ榮市忌   渡辺信明

  一丁目一番地一戸建て空梅雨        中内火星

  道ばたのマリーゴールド的あした     広瀬ちえみ

  靴音の群集心理春の泥          ますだかも

  茅の輪潜りそのまま己れに抜けてゆく    川村研治

  一生は祭のごとしといつ言はむ      中西ひろ美

  聞き慣れぬ男の音が来て黙る        野口 裕



★閑話休題・・森澤程・津髙里永子「~ちょっと立ちどまって~」2022.8・・

    以下に一人一句を挙げておこう。


    雲の峰ひとりになればくもる癖     森澤 程

    浮世の身浮かす虫籠吊しけり     津髙里永子 



       芽夢野うのき「白曼珠沙華白く生れて幸せか」↑

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