関根道豊第二句集『三年』(牛歩書屋・こんちえると叢書2)、著者「あとがき」に、
大牧先生の最後の序文をいただいた第一句集『地球の花』上梓(2019年8月15日』から3年を数えようとしている。この3年は、『地球の花』のあとがきに記した三つのテーマ詠「東日本大震災と福島第一原発事故」「九条俳句不掲載事件」「辺野古の闘いの支援」の内、最初の年明け(2019年)に「九条俳句」が公民館だよりの2月号に掲載され、解決した。しかし、残す二つは引き続き詠むべき重い課題(第二句集)として残された。(中略)
2017年11月から紙上勉強会の通信紙「こんちえると」を始めていた私は2019年7月、終刊後の全国の仲間を繋ぐ俳句通信紙として「こんちえると」に雑詠蘭(一句)を設けて再出発した。そうして3年が経った。
とある。その結びには、「私の『日々の生活の中で出合う感動や疑問を五七五の韻文に記録し己と時代を見つめる』俳句への、大牧広先生の『地球上に何がおきているか、しなやかな詩精神で詠む』指導は、この3年の、この先も叱咤激励し放さない」としてあり、、本集名に因む句、
三年の吾をはげます晩夏光 道豊
が置かれている。ともあれ、集中より愚生好みに偏するが、いくつかの句を挙げておきたい。
太文字の核廃絶のいかのぼり
大牧広逝く
釋広慧発つ日の穀雨降り止まず
母といふ全き師あり衣被
公文書シュレッダーに消ゆ帰り花
ジェンダーを雪女にも問うてみる
除染なき浪江の蔦の茂りかな
悼鮫島恵利子
待つてゐし兄と娘や吾亦紅
肌色の消えしクレヨン文化の日
軟禁のスー・チー梅雨の誕生日
九月一日虐殺といふ震度
行けど行けど棄民の色の芒原
白鳥の見せぬ一つに足の色
三月三日百年の水平社
被爆国「核共有」の四月馬鹿
祝『大牧広全句集』上梓
すててこの十四句ある全句集
関根道豊(せきね・どうほう)1949年、埼玉県生まれ。
★閑話休題・・月刊 俳句通信紙「こんちえると」第58号・・
「こんちえると」第58号(牛歩書屋主人)、副題に「私と時代を視つめ 生きている証しを詠む/詠みと読みの協奏/いのちの一句募集」とある。本号のトップ記事は転載で小西昭夫「大牧広の滑稽俳句(一)」。愚生として、興味深かったのは池田和人「終刊前後のこと」で、「港」終刊からの現在、大牧広系の俳誌の誕生について、詳細に記されていることであった。
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