2022年9月19日月曜日

豊里友行「蓮の実が飛ぶピストル社会は嫌よ」(『母よ』)・・


        右側は、讀賣新聞・6月10日夕刊ー本集所収「命どぅ宝」5句↑


 豊里友行句集『母よ』(沖縄書房)、装幀と句の英訳は松本太郎。その「あとがき」に、


  (とー)ぬ世(ゆー)から 大和(やまとぅ)ぬ世(ゆー) アメリカ世(ゆー) ひるまさ変(か)わたる 此(く)ぬ沖縄(うちなー)

                       「時代の流れ」(嘉手苅林昌)より 

 ちょうど沖縄戦のときに私の母は赤子だった。記憶にはないが、戦争に巻き込まれていたことになる。私の母が祖母から聞いた話によると祖父の父がヤンバル船をもっていたこともあり、沖縄県北部へ避難していったのではないかと推測される。(中略)私の祖父は、この戦争が終わったらどんな良い時代が来るかもしれないからと赤子だった母を生かしておきなさいと逃げ回って生き延びた。私が、こうして生きているのも赤子だった母の命が生きながらえたことで紡がれていることを考えさせられた話だ。(中略)

 現在の沖縄は、太平洋の要石で捨石でもあった軍事要塞化していった島の沖縄戦前の歴史をくり返しように再び戦争の道を歩み始めているようだ。戦火を逃れ逃れていた赤子のように昼寝をしている母をみつめている。


 とある。ともあれ、愚性好みに偏するが、集中より、いくつかの句を挙げておこう。


  じぶんで決めることの喜び花きりん      友行

  若夏が沁みる埋立だらけの島

  この虹も国境線の鞭ですか

 

  荒星も

      織る蝶の風

  海原も

 

  みんな巻き込む十・十空襲の蜻蛉

  団栗の独楽は宇宙の音符なり

  竹節虫が出会えば兄弟(いちゃえばちょーでぇ)の輪を描く

  

  戦争は嫌っ

  これでも食らえ


  春だ


  要塞と化す琉球弧の針千本(アバサー)

  核の世を泳ぐ鯉のぼりの目玉

  骨の代わりの石を拾うよ夏至南風(カーチーベー) 

  遺影が並ぶ中を眼が泳ぐ

     喜怒哀楽も刻んで苦瓜(ごーやー)ちゃんぷるー


 豊里友行(とよざと・ともゆき)1976年、沖縄県生まれ。




★閑話休題・・・豊里友行写真集『沖縄にどう向き合うか』(新日本出版社)・・


 豊里友行写真集『沖縄にどう向き合うか』(新日本出版社)、チラシに「沖縄復帰50周年/苦悩と祈り、記憶と継承、悲しみと決意ー米軍基地の重圧にあえぐ故郷を記録し続けてきた気鋭の写真家が、今の沖縄と沖縄戦の時代に共通するものを見据えた写真集。109点のモノクロ写真が現在の沖縄の空気と人々の願い、思いを伝える。戦時下に起きた強制集団死に注目、戦争と軍隊の本質をすべての日本人に問いかける。復帰後の沖縄で生まれ育った写真家の思い」とある。

 ◎定価:2400円プラス税/A4変型/128頁 好評発売中。(愚生は、図書館にリクエストした)



       撮影・鈴木純一「重力は甘い不可説不可説転」↑

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