2018年1月17日水曜日
黄土眠兎「コンビニのおでん水道水を足す」(『御意』)・・
黄土眠兎句集『御意』(邑書林・限定500部)、集名は以下の句に因むと思われる。
アマリリス御意とメールを返しおく 眠兎
帯文は小川軽舟、その惹句に、
俳号こそ眠れる兎と謙遜しているが、眠兎さんはトリックスターの野兎のように俊敏だ。結社の境界をやすやすと越えて種を蒔き、沃野を広げる。この句集の豊穣は、私にとってうれしい不意打ちだった。
とある。対して、著者の「あとがき」も泣かせる。
そして、私が入会した当時小川軽舟主宰はちょうど関西に勤務されており、はじめての句会が軽舟主宰の句会でした。鳥が初めて見たものを親と思う習性のごとく、それ以来変わる事なく「鷹」の雛として生息しています。ときどき「里」という仲間の巣に遊びに行き、超結社という渡り鳥さんたちと遊んでいますが、「それが眠兎さんの刺激になるのであれば」と、どこに行こうと灯台の明かりのように私のすすむ道を示してくださっています。
幸せな師弟関係というべきか。ともあれ、本集よりいくつかの句を以下に挙げておきたい。
阪神淡路大震災
まだ熱き灰の上にも雪降れり
朝寝して鳥のことばが少しわかる
昼ともす梲の低き種物屋
遠足の列に行きあふ爆心地
丸洗ひされ猫の子は家猫に
夜店よりひよこを入れて紙袋
抽斗の記憶の蓋は開けておく
登高としてマンションの昇降機
小春日や紅絹に抱かるる円鏡
黄土眠兎(きづち・みんと)、昭和35年、兵庫県生まれ。
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