2021年4月13日火曜日

阿部鬼九男「『夜は千の眼を持つ』魂に出入り口」(『黄山房日乗』四月十三日)・・・


                  1986年4月13日↑


十三日、マンハッタン・ジャズ・クィンテット(中野)フロントの切れ味、E・ゴメス好サポートなれど不満残る。

”新伝承派“と言はれてゐることは悪口と知るべし。この点、A・ブラクストンの方法を支持する。


    「夜は千の眼を持つ」魂に出入り口   阿部鬼九男


*『黄山房日乗』へ35年後の剽窃譚・・・


         4月13日(火)・・・曇のち雨

(中野)は中野サンプラザ。マンハッタン・ジャズ・クインテットは、スイングジャーナルとキングレコードの企画プロジェクトで、日本向けの活動が主だったらしい。1986年2月は3作目『マイ・ファニー・バレンタイン』でベーシストがアンソニー・ゴメス(元、ビル・エヴァンス・トリオ)だった。ただ、演奏に不満の残った彼は「この点、アンソニー・ブランクストン(フリージャズ)の方法を支持」と記している。
 上句「夜は千の眼を持つ」は、かつて鬼九男は英語の教師をしていたこともあるので、イギリスの詩人、フランシス・ウィリアム・バーディロンの英詩『Light』のフレーズから拝借したのではないだろうか。また同名の小説、それを映画化したテーマ曲の題名でもあり、ジャズのポール・デズモンドのナンバーのことであるかもしれない。とはいえ、下句「魂の出入り口」のフレーズから、たどって思うと、「夜は千の眼をもつ」は無数の星のことであるとともに、昼はたった一つの太陽を象徴しているともいえよう。

    魂の出入りの春やひかりは愛     大井恒行



   撮影・芽夢野うのき「花は葉にあらわに空の濡れるかな」↑        

0 件のコメント:

コメントを投稿