1986年4月25日↑
二十五日、「騎」Ⅴ号着。安井浩司、埴谷雄高の世界を解き、夏石番矢と拙句集を評する。埴谷対談集通読中の暗号。
埴谷に〈念速〉のことばあり。最近、当方から安井へも二度の電波のことあつたやうで、〈意識〉に就き思ひ巡らす。
寂滅に甚だ近きさるのこしかけ 阿部鬼九男
*『黄山房日乗』へ35年後の剽窃譚・・・
4月25日(日)・・・曇
「騎」第Ⅴ号(1986・3)には、安井浩司「最後の審判に向かって—ふたつの句集ー」が掲載されている。夏石番矢『メトロポリティック』(牧羊社)と阿部鬼九男『夏至殺法』(端渓社)である。その末尾に安井浩司は「(前略)俳句の世界に『ヴィジョン』にも似た思いがけぬ世界図を組織してくれるのではないか。それは冒頭にも述べた埴谷の漆黒の『時空』と、最後の照応を遂げてくれるかも知れない。阿部鬼九男は、誰よりもその車軸の近くにいると思う。/昼の月皆扉(と)を閉ざし来るものを/漂母はやふるさとを鐘渡りける/馬光る闇もて以南に叶べし 鬼九男」と記している。
今朝、小野市教育委員会から第13回・小野市詩歌文学賞受賞者の便りが届いた。
受賞者は、短歌・島田修三『秋隣小曲集』と俳句・大石悦子『百囀』である。なお、6月5日(土)に予定されていた「第十三回小野市詩歌文学賞・第三十二回上田三四二記念『小野市短歌フォーラム』」の開催は、新型コロナウィルス感染拡大のため中止だそうである。
こしかけるあれ一飯の漂母かな 大井恒行
撮影・芽夢野うのき「こでまりの群れをはなれた鞠ひとつ」↑
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