2021年4月30日金曜日

阿部鬼九男「世紀このしぎ焼のノエシス・ノエマ」(『黄山房日乗』四月三十日)・・・

 


                 1986年4月30日↑


三十日、北里行、都合により延期。チェルノブイリ原子力事故拡大の模様。人間の驕りの警鐘にしても酷きことなり。

予言句(四月二日、三日)早や的中し、効力を失ふ。更に予言より予言を試みるべし。


    世紀このしぎ焼のノエシス・ノエマ   阿部鬼九男


*『黄山房日乗』へ35年後の剽窃譚・・・


       4月30日(金)・・・晴


 「北里行」は、折笠美秋が入院していた北里大学病院(神奈川県相模原市)のこと。

 予言句とは、本書『黄山房日乗』4月2日「『今夜は眠れ』明日は火垂る魚を見よ」と、3日「キエフなる天門に聴く春の雨」の句。とりわけ、キエフはウクライナ(チェルノブイリ)の首都である。鬼九男自身が言うくらいだから、何か暗示めいたものを感覚したのであろう。

 句の「鴫(しぎ)焼」は茄子田楽、夏料理。ノエシス・ノエマは、ギリシャ語で、フッサールの現象学において、精神作用をいう用語「考える」(noesis=ノエシス)と「考えられたもの」(nona=ノエマ)。


    椎の木の思惟 油にもどす世紀末    大井恒行



        撮影・鈴木純一「藤くちて冥府にみちる馥郁と」↑

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