2018年8月14日火曜日

加古宗也「雲雀は天を人は水辺を好みけり」(『茅花流し』)・・

 


 加古宗也第5句集『茅花流し』(角川書店)、「あとがき」によれば、『雲雀野』に続く第5句集で、平成17年から25年までの句から371句を選んだという。集名に因む句は、

  茅花流しや富士川は富士の水     宗也

 であろう。師の富田うしほ、潮児、その師・村上鬼城に関する句も多く収録されている。

     鬼城忌四句
  水茎に漲る力常閑忌
  蓑虫の鳴くという嘘常閑忌 
  忌の寺のこぼれやすくて紅の萩
  鬼城忌の山河きちきちばつた飛ぶ
     守石莊
  句襖の八面復習ひ常閑忌
     冨田潮児翁
  誰れ彼れをいつも案じて生身魂
     富田潮児翁百寿 三句
  子に孫に長寿はやされ生身魂
  生身魂けふもすててこ離さざる
  手を膝に昭和を語る生身魂

 その生身魂も平成23年9月29日に身罷っている。 鬼城は昭和13年9月17日、うしほは昭和52年9月19日、何れの忌日も近い。富田木歩の忌日は大正12年9月1日、関東大震災の渦中に没したと伝えられている。

  わが顔にかかる蜘蛛の囲木歩の忌
  鳳仙花はじけ木歩の忌なりけり   

 忌日句と言えば、龍太を悼む句もある。

  龍太逝く今日も桜の家武村
    註 家武村=現在の西尾市家武町。
           「雲母」誕生の地  

 ともあれ、他にもいくつかの句を挙げておきたい。

  団扇絵は球子の富士やぱたぱたす
  涅槃図の端のまくれて猫のぞく
  岳の上に雪の岳あり花の雲
  銀河見えずなりぬランタン高く飛ぶ
  冬晴や日時計はけふ影持たず
  



             俳句集団縷縷俳句展VOL.3 ↑
                 2018,7.7・8    
 

★閑話休題・・・
 先日、7月8日の愚生のブログで紹介した「俳句集団 縷縷 俳句展」のフォトブックが出来たというので、一冊恵まれた。文庫サイズの写真をふんだんに、瀟洒な出来栄えである。展示の様子や同人仲間の写真など楽しく、さらに当日の飾られていた句なども掲載されているが、すでにブログで一人一句を挙げておいたので、今回はそのフォトブックの書影のみだが紹介しておこう(上掲写真)。



          撮影・葛城綾呂 アゲハの羽化↑ 

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