2018年9月23日日曜日

飯田晴「落葉踏むあひたき鳥が空にゐて」(『ゆめの変り目』)・・



 飯田晴第三句集『ゆめの変り目』(ふらんす堂)、集名に因む句は、

   噴水にゆめの変り目ありにけり     晴

 である。また、2010年から2018年春までの300句を収めたともあった。また、夫君の急逝には以下の句がある。

      鳥居三郎急逝
   秋風の野を脱ぎ捨てるやう逝けり 

 鳥居三郎とは、まだ鳥居三太と名乗っていた「童子」の時代に遡る。そんなに深い付き合いをしたわではないが、けっこう気が合っていたかもしれない。なかなかに男気のある人だった。愚生が前の会社を退職(偶然に定年退職日が、会社解散日だった)したのちに、文學の森「俳句界」で働き始めたころ、これも偶然に東京駅で出くわしたことがある。そのとき、すかさず月刊「俳句界」を「大井さんがいる間は定期購読する」と言って、早速、購読を申し込まれたことを思い出す。
 ともあれ、いくつかの句を以下に挙げておきたい。

   ひとへやにこぞりし手足はつむかし
   水といふ水ひつぱつて氷けり
   かぞへてはいけない曼珠沙華だらう
   秋蝶をひかりの中に見失ふ
   地下室の夏や展翅の蝶あをし
   沼に来て冬のひぐれを促せり
   木の雨に浮いて茸の肉白し
   干潟夕づくいよいよ鳥のこゑ
   鳴き龍をたんと鳴かせて春惜しむ

飯田晴(いいだ・はれ) 昭和29年、千葉県生まれ。



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