撮影・渡辺保 ↑
一昨日1月16日(木)は、第199回遊句会(於:たい乃家)だったが、愚生は、急用ができて出席できず、急遽、欠席投句をお願いした。次回の遊句会は、目出度く200回、それも令和2(2020)年2月20日(木)の2並びの記念すべき日となる。加えて、恐縮にも遊句会に若輩途中参加の愚生に、3月の兼題を出せという巡り合わせになっているようだ。ともあれ、送られてきた句稿より、一人一句を以下に挙げておこう。今月の兼題は、焚火・厄払い・春遠し。
焚火あと噂話(うわさばなし)の熱残す 武藤 幹
歩みよる今朝の諍(いさか)い夕焚き火 橋本 明
火が細り芋を待つ児ら落葉焚き 天畠良光
落葉焚く煙の向こうにグレタの目 石川耕治
山積みの被災家財や春遠し 川島紘一
東尋坊人生丸ごと厄払い 山田浩明
秘め事も煙となるや焚火燃ゆ 山口美々子
その爺は「焚き火奉行」と云うあだ名 村上直樹
はや九年磐城の国に春遠し 渡辺 保
あれこれと大師のはしご厄落し 植松隆一郎
友の名の二つ三つ出ず春遠し 石原友夫
恋文に焼芋のせる焚火かな 中山よし子
厄払い福を求めて銀座かな 前田勝己
☆番外(欠席)投句・・・・・
断捨離でやったつもりの厄払い 原島なほみ
春遠し六郷走る京急線 春風亭昇吉
これでもか涙の数の厄払ふ 林 桂子
年変はり今年も行こう厄払い 加藤智也
焚火して火の鳥を飼う男かな 大井恒行
次回は、2月20日(木)。兼題は入学試験(入試)・春雪(春の雪)・余寒、当季雑詠。
★閑話休題…花森こま「花野にはまっさおな骨散りばめて」(「逸」第41号)・・・
「逸」は花森こまの個人誌である。不定期だが、何十年も発行し続けている。御主人は、柳人の楢崎進弘である。今号でも柳句100句ほど発表している。花森こまもそれに劣らない句を発表している「九月の町」。その「こまのひとりごと」に、
転移がみられ、肝臓がんということで新しい治療を受けている。手術ができない部位ということで、抗がん剤治療と注射。覚悟はできていたので、仕方ないかな、と受け止めている。(中略)
昨日はお風呂で転んでしまった。怪我はしなかったけど、ちょっと自分で情なかった。
これでもかと、夫が大量に句を作っているので、わたしもよい刺激を受けている。
と記されている。愚生が、花森こまと知り合ったのは、永田耕衣がまだ健在だった頃、彼女は耕衣の「琴座」に居た。阪神淡路大震災から25年というから、それ以前のことである。耕衣も被災し、それを機に老人ホームに入った。そして、たしか97歳で死去した。
花森こまの本復を祈りたい。「逸」にはまた、木戸葉三が寄稿している。彼の句集「幺象眉学(ようしょうびがく)」を、愚生は作らせてもらったことがある。愚生より二十歳くらいは若かったように思う。ともあれ、「逸」本号より、いくつか句を紹介しておこう。
原っぱにうすく光がつもるなり 花森こま
犬というだけでは罪に問われない 楢崎進弘
救われる魂もなくよもぎ餅 山口可久実
風鈴としだいにくるいゆくわたし 木戸葉三
介護日誌ぱたりと落し寝入るのだ 一戸涼子
寝返りを打たねば異界見えそうで 細川不凍
撮影・鈴木純一「息とめて臘梅の字に点を打つ」↑
純一 蠟梅↑
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