2021年10月14日木曜日

豊里友行「咲き誇れ鴎一騎の我が書を捲る」(『ういるす籠り』)・・


  豊里友行第4句集『ういるす籠り』(沖縄書房)、表紙の紅型は金城宏次、裏表紙の写真は著者、英訳は松本太郎とある。各句、「あとがき」すべてに英訳が付されている。因みにブログタイトルにした句「咲き誇れ鴎一騎の我が書を捲る」の英訳は、


  Blooming.lonely seaglls turn over my book


 である。著者「あとがき」には、


(前略)私は、この時代の試練をウイルス籠りと呼ぶ。私にとって一度っきりの人生において私たちの生き方を大きく変えたこの感染症に悩む期間を忘れることはできないだろう。

全ての人類は、より良く生きたい。

人間一人ひとりが、より良く生きたい。

私は、さまざまな主義・主張が、言い争い武器を持って戦おうとも俳句や写真から希望の光を見出したい。 

言い争いや武器では、人類の一人ひとりの幸福を叶えることはできない。

私にとって俳句の杖は、生きるささえになって歩みとなる。

そんな希望の光をこの句集『ういるす籠り』に込める。

私自身が、このような時代を真剣に見つめ直す中で見出したコトやモノを俳句によって世に問いたい。


 とあった。因みに、「ういるす籠り」の句を以下に挙げると、


  ういるす籠りの銀河系をごらん      友行

  ういるす籠りの銀河の帆を燈す

  ういるす籠りの寝る母合歓の花


  ともあれ、集中より愚生好みに偏するが、幾つかの句を挙げておこう。


  がりがりと蟷螂が三日月齧る

  臆病な私の本音キャベツ剥ぐ

  収奪の雨も選挙の民意かな

  ふるさとは蜻蛉の音符で溢れてる

  ∞の芽吹きへ花の風車祝(カジマヤー)

  マスクだけ残して街の福笑い

  断食を強いる国家のうまごやし

  エイプリルフールの沖縄開戦日

  曼珠沙華それは血潮の翼なり

  骨として石を葬るうりずん南風(ベー)

  蒲公英の分布に潜む有事です


 豊里友行(とよざと・ともゆき) 1976年、沖縄県生まれ。



撮影・中西ひろ美「朝(あした)には川霧で包んであげよう」↑

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