2018年7月2日月曜日

三島広志「戦後即戦前街になつあかね」(「いぶき」創刊号)・・



 「いぶき」創刊号(編集発行人、今井豊・中岡毅雄)が発行された。その創刊挨拶には、

 俳句と真摯に向き合いつつ、「成長」と「連帯」をキーワードと考えています。「成長」とは、会員一人一人が俳人として成長することであり、若手育成も視野に入れています。「連帯」とは、志ある俳人の方々との連帯です。
 若手育成と連携の企画として、高等学校の俳句部(文芸部)を紹介していくコーナーがあります。

とあり、黒田杏子は「『いぶき』創刊に寄せて」で、締めに、

今井さん・中岡さんに申し上げます。
雑誌の「いのち」は選句です。選句・選評が会員・投句者との「たましい」の連帯の要(かなめ)です。選句力こそ雑誌のいのち。
頑張って、精進して下さい。

と、エールを送っている。中岡毅雄は「永田耕衣の富沢赤黄男『黙示』の受容」と題して、興味ある論を展開している。それは、神戸の古書店・黒木書店のガラスケースにあった富沢赤黄男句集『黙示』の多くの書き込みが鉛筆でなされ、それが永田耕衣のものであると、古書店主が明かしたことによって、即座に購入するところから始まる。書き込みは決してくれとたのまれた古書店主が、もったいないとして消さなかったのだ。その意味では、まことに貴重この上もない一冊を中岡毅雄が手にしたことになる。この永田耕衣の書き込みをめぐる論であるから、なお面白い。例えば、

 5、耕衣の評価した『黙示』の作品

 耕衣が共鳴した句について、触れてみよう。耕衣は批点に◎○△レを用いている。この句の中で◎が施されている作品を読んでいきたい。
 まず、一句目である。

 空しさ(ーー傍線あり)
◎偶然の 蝙蝠傘が 倒れてゐる

 とあり、中岡の論が展開されていくのだが、愚生の拙いパソコン操作技術では、記号などうまく表記できないので、興味のある方は是非、直接、雑誌に当たられたい。
 ともあれ、「いぶき」代表者の各一句をあげて、船出を祝し、期待を込めて見守りたい。

   歳月を数へる素顔かぎろへり     今井 豊
   木洩日のとどかぬ一人静かな     中岡毅雄



           撮影・葛城綾呂 ↑
  




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