2018年10月29日月曜日
渡辺喬子「海からも山からも風墓洗ふ」(第54回府中市芸術文化祭俳句大会)・・・
講評する大久保白村↑
昨日10月28日(日)は、童謡100年記念事業/第54回府中市芸術文化祭俳句大会(於:府中市民活動センター「プラッツ」)・府中市俳句連盟(会長・笹木弘)だった。主選者は大久保白村。特別選者で出席したのは、松川洋酔・倉本俱子と愚生。当日句会の席題「松手入」と「秋簾」。愚生は、隣りに座られた旧知の松川洋酔の次の句を特選にいただいていた。
青空を引き寄せ松の手入れ済む 松川洋酔
大久保白村の当日の句は、
仕舞ふのが面倒なだけ秋簾 大久保白村
何気ない光景ながら味わいのある句だった。主選者の大久保白村は大先輩であり、「ホトトギス」の重鎮である。父も俳人で橙青を名乗る初代海上保安庁長官、衆議院議員・大久保武雄である。著書に『海鳴りの日々ーかくされた戦後史の断層』『原爆の証言』(今年英訳付きで再販された)などがある。
当の大久保白村は1930年東京生まれで、今は俳句をユネスコの世界文化遺産に登録するというので、お忙しいらしい。キーワードは「俳句」、俳句で平和に貢献するということだという。中曽根元首相も俳句をやっていたので、金子兜太、有馬老人、宮坂静生、鷹羽狩行など各俳人団体とともにその名があったように記憶している。
ともあれ、以下に兼題の部の句を紹介しておこう。
市内の部一位 海からも山からも風墓洗ふ 渡辺喬子
二位 手花火の後ろの闇が膨らめり 笹木 弘
三位 新涼や独り将棋の駒の音 青柳 惠
市外の部一位 門灯を消した虫たちに返す闇 小野富美子
二位 西瓜切るところと言はれ上がり込む 新保徳泰
三位 工房の木屑匂へる今朝の秋 吉沢美佐枝
7位 ポケットの木の実を握る喪の帰り 山中とみ子
8位 白南風や軍艦島に湯屋の跡 鍬守裕子
9位 いとど跳ぶオール電化の台所 倉本俱子
10位 万年筆の字の太りたる敬老日 髙橋小花
11位 ほうずきの中まで染めてくる夕日 中山遊香
12位 水明りして一木の紅葉かな 林冨美子
13位 遠花火それより遠く父母眠る 青木一夫
14位 放ちやる落蟬声を手に残し 日吉怜子
15位 水澄むや銘菓のやうな石拾ふ 松代展枝
因みに愚生の「兼題」特選の三句は以下である。
一礼に返す一礼天高し 村田のぼる
黙禱のときを尽して蟬しぐれ 保坂末子
西瓜切るところと言はれ上がり込む 新保徳泰
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