2018年10月28日日曜日

間村俊一「江戸俳諧歳時記花の意氣土産」(『彼方の本』)・・・


           奥方と間村俊一↑

 間村俊一の仕事『彼方の本』(筑摩書房)、一昨日10月26日(金)は、「間村俊一装幀集『彼方の本』刊行を祝ふ会」(於・アルカディア市ヶ谷)だった。久しぶりに旧知の皆さんとお会いする機会を得た。
 愚生が間村俊一と最初に会ったのは、「俳句空間」(弘栄堂書店版)の編集をやっていたころだから、彼是30年近く前にのことになるだろうか(彼は忘れているかも知れないが)。福島泰樹編集の総合雑誌・季刊「月光」の広告版下をもらいに、飯田橋にあった事務所に伺っていたのである。もちろん、「月光」の表紙の装幀・本文レイアウトも間村俊一で、その雑誌に拙作の俳句を寄稿したこともあった。従って、本書中には、当然ながら、『福島泰樹全歌集』などの福島本の装幀もあり、「泰樹さん二句」の詞書のある次の句が置かれている。

   ヴァンテージ巻けばたちまち冬怒涛     
   リング四角い荒野であらば燕͡来よ

 また、集中には間奏句集として「ボヴァリー夫人の庭ー本あるひは装幀にまつわる五十五句」が収められている。それにはすべての句に「俳句装幀偽日記」として前書が付されている。巻尾の句は、

     版下といふ絶滅危惧種。もちろん書物に未来は無い
   初夏の版下あはれ書物果つ

 以下に、著者自装の間村俊一既刊句集より一句ずつ・・、

   天上に瀧見しことや鶴の鬱     『鶴の鬱』
   口吸へば魚臭きや晝花火      『抜辨天』
   
 そして、攝津幸彦に関する部分は愚生として抜かすわけにはいかない。以下、

 (前略)以来すっかり嵌った。装幀に困るとコラージュを作ってしのいできた。『攝津幸彦選集』、『新撰21』もこのパターン。海に面して立つドア。画面中央のミノタウロスは「父」のイメージである。攝津の高名な夜汽車の句に太刀打ちするため、牛頭人身の父にご登場願ったのだが、果して対峙できたかどうか。

 因みに、ブログタイトルに掲げた句は、加藤郁乎『江戸俳諧歳時記』へのもの。「ワタシガ・カトウ・イクヤ・デス」の声が聞こえてきそうである。そして、風に聞くところによれば、イクヤを間村俊一に紹介した、ですぺら主人・渡辺一考は健在で、最近地元の神戸に引っ越しをしたらしい。

 間村俊一(まむら・しゅんいち)1954年 兵庫県生まれ。



      回顧展での亡き石原忠幸の弟・石原友夫(左)と愚生↑ 

★閑話休題・・・「石原忠幸回顧展」・・・

 秀麗の昨日は、流山まで石原忠幸回顧展(於:カフェ&ギャラリーANTIGUA。~10月31日まで)に出かけた。想像していたより遠路だった。
 シャンソン歌手でもあり、愚生を遊句会に招いた石原友夫とのツーショットを、そこにおられたご婦人に撮っていただいた。美術評論家・洲之内徹に縁があって、大事にされていたらしい。展覧会場となったのは古民家のカフェの中二階だが、その人が石原忠幸の親友で、多くの絵を所蔵されているとのことであった。
 山口県出身の愚生にとっては、宇部や美祢など旅先での山口県の絵も多く、不思議に懐かしい感じがした。

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