2018年4月8日日曜日

安井浩司「まだ成らず三内丸山粘土妻」(「草藏」第98号より)・・


         -わたしの墓へ(北海道士別市)/写真・佐々木六戈↑

 句歌詩帖「草藏」第98号(草人舎)、終刊まであと2号とある。佐々木六戈「藏から艸(くさかんむり)へ」で、句歌詩帖「草藏」の、その後について触れてあるが、「姿を変えても、甦るものでありたい」「刊行は不定期が望ましい」、その際に「号数が増えるというよりは、カウントダウンの〇号を目指す(いつ死んでもいいように)」などとあるので、このまま、完全に終わるというわけでもなさそうである。
 ともかく、本号の、葭澤美絵子「霜花草上⑭」は、安井浩司『烏律律(うりつりつ)』の句についての感銘深いエッセイである。後半を以下に記して紹介したい。

   芹摘みのクララと会える相模原

 行基菩薩が姫に変身して門番の子供である真福田丸を恋の虜にし、仏道に導く古い説話がある。そのきっかけが芹摘みである。クララの名にはアッシジの聖フランチェスコの弟子、聖女クララが思い当たる。身分違いの恋という文脈があり、東西の時空を遥かに展望しつつ、恋が信仰へと至るものとして考えられている。
 それにしても相模原。海を望むにはまだ途上すぎる地だ。その人と出会い、あるいは出会うことができると告げて、何処へ。
 全て『烏律律』より。

   鶫野にケルト語を撒き散らす人
   夜ごと少年蕁麻(じんま)の神に抱かれたり
   鶴仰ぐ羽衣草の中に寝て
   遠雷や海泳ぎくる百手神
   いちめんに宇宙の静脈秋初(あぎは)

主宰作品を以下に。

   こめかみや水ひよめきや芹の水       六戈
   われもまた図書の羊の一匹ぞこれを宰(はふ)りて罪祭(ざいさい)となす
  




   

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