2022年10月30日日曜日

安田俊朗「秋耕の畑膨らみ風渡る」(第58回府中市民芸術文化祭俳句大会)・・

 

 
               

 本日、10月30日(日)午後1時~は、主管・府中市俳句連盟の第58回府中市民芸術文化祭俳句大会(於:市民活動センター「プラッツ」6F)だった。特別選者の野木桃花に実に久しぶりにお会いした。当日句会の席題は、「鳥渡る」「鹿」であった。ともあれ、事前投句の結果を以下に少し紹介し、各選者(アイウエオ順)の特選句のうちの一句ずつを挙げておきたい。


  市内1位 秋耕の畑の膨らみ風渡る         安田俊朗

  市内2位 廃校の錆びた鉄棒盆踊         米山千賀子

  市内3位 饒舌な風の来ていゐる軒風鈴       島﨑栄子

  市外1位 送り火の果てたる闇の重さかな     吉沢美佐枝

  市外2位 風止みて手持ち無沙汰の猫じやらし   相馬マサ子

  市外3位 芋の露風がさらってゆきにけり      野木桃花


  (秋尾敏選) 緑蔭や渇いた風で身を拭う      松本秀紀

  (岡本久一選)皺のない涙拭ふや広島忌       島﨑栄子

  (倉本倶子選)野路の秋木々の影踏みけんけんぱ   濱 筆治

(佐々木いつき選)薄墨で書きし便りや秋深む     庄司知英子

  (清水和代選)ケチャップの蛇行ざくりと残暑なり  田中朋子

  (池原光夫選)鶏頭のギラギラと空燃やす      新保徳泰

  (野木桃花選)虫の声増して寡黙の父と娘と     高木暢夫

  (星野高士選)死ぬまでは酒止められぬ生身魂    笹木 弘

  (松川酔水選)学習田稲架高だかと夕日浴ぶ     小高歌子

 (山崎せつ子選)饒舌な風の来てゐる軒風鈴      島﨑栄子

  (吉田 功選)朝練の掛け声響く秋の浜       杦森松一

  (笹木 弘選)敬老日昭和の染みの日章旗     山中とみ子

 (米山多賀子選)満開の花野で箸を置くつもり     保坂末子

  (大井恒行選)ふる里のかて飯こはし敗戦忌     青柳 惠

         明日の色決めかねている牽牛花   岡﨑ひさ子

       あの根のね這い出た根にね黄のキノコ生え 濱 筆治


 当日句席題の愚生の特選句は、


      岩山を鹿軽軽とケーブルカー     砂川ハルエ



★閑話休題・・大井恒行「秋青空ウィズコロナウィズ核」(毎日新聞2022・10・30「季語刻々」より)・・


 今朝の毎日新聞朝刊/坪内稔典「季語刻々」に、愚生の句が載っていると、教えてくれた友人がいる。思えば、坪内稔典は、半世紀以上前、彼が「日時計」を創刊し、愚生はそれを注文して読んで以来、ずっと、彼の歩みを見てきた。愚生にとっては、いまだに、彼の著書『過渡の詩』である俳句形式という認識であるし、現代俳句の歩みは、彼なくしてあり得なかっただろうと思う。そういえば、伊方原発(もちろん,愚生は反対だが)の地、坪内稔典は、大本義幸とともに四国佐多岬出であった。



     撮影・中西ひろ美「糸くずや紙くずや混ぜ色の秋」↑

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