2018年2月24日土曜日
金子兜太「かくも細かく科(しな)の花咲きわれは老いず」(「点」第44号より)・・
「点 海程福井支部 年間アンソロジー」第44号(平成30年2月20日・海程福井支部)、中内亮玄の「編集後記」を以下にすべて再掲載する。
今年で平成が終わります。金子兜太先生が主宰を引退され、海程が終刊し、点もまた然り。
長きに渡り、全国の皆さん、読んで頂いてありがとございました。兜太先生、ご指導ありがとうございました。
という予定でしたが、新たに『海原』発刊の、喜ばしいご連絡がありました。
皆さん、今後ともよろしくお願いいたします。
「点」が届いたのは、金子兜太の訃報とほぼ同時だった。残念ながら「海原」発刊は、兜太健在の白寿までは待てなかったが、それでも兜太大往生というべきであろう。愚生にも兜太に関する数々の想い出はある。例えば、愚生が月刊「俳句界」に入った頃、社長の姜琪東が「兜太ばかりがなぜもてる!」というタイトルで特集を編んだ。そして、ほぼ毎号のように金子兜太を誌面に登場させた。その頃から、文字通り俳句の世界ばかりではなく、兜太の政治に関わる姿勢、「アベ政治を許さない!」「平和の俳句」「俳人九条の会」などに象徴されるように、社会的な運動の場に引きだされることが極めて多くなったように思う。ある意味で虚子以上の国民的俳人だった金子兜太。筑紫磐井のこの上ない金子兜太賛歌の句を、
金子兜太老人は青年の敵強き敵 筑紫磐井
ともあれ、以下に「点」より一人一句を挙げておこう。
新涼のしゃがんで拾うひかりかな 石田秋桜
星よりの伝言を待つ冬木立 岩堀喜代子
等伯の屏風の陰の鬼哭かな 小山柴門
風花の風にほどけるリボンかな 久保ふみ子
妻の咳我に鞭打つようにかな 齋藤一湖
桜とは無窮誰もが置いてきぼり 中内亮玄
八月の傷口とんと乾かない 西又利子
蓑虫の耳あるような動きせり 青木美智子
雪の朝独りは鶏を鳴いてみし 水上啓治
三ツ星の味より母のむかご飯 松宮日登美
ローカル線から秋風に乗り変える 森内定子
ぶらんこの園児は鳥になるつもり 山田冨裕
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