2018年2月5日月曜日

津田ひびき「言の葉にすれば消えさう春の雪」(『街騒』)・・



 津田ひびき第二句集『街騒』(ふらんす堂)、著者「あとがき」には、

 (前略)ともあれ、振り返ればやはりあっという間。暮らしにそれなりの変化はあったが、今日までどんな時も俳句と繋がってこられたのは幸せなことと思う。
 句歴が長くなった分だけ俳句が向上する訳もなく、むしろ落とし穴を感じることもしばしば・・・。
 これを機会にまた初心に戻り、謙虚に楽しく、自分らしさを少しでも表現出来れば幸いだ。
 
 とあり、なかなか健気である。集名『街騒』は行方克巳の抄出した10句選のうちの、

   街騒の猥雑にしてあたたかし      ひびき

からのものだとあるが、「街騒」の句は他にもある。

   秋惜しむ心斎橋の街騒に
  
帯文によると、「第一句集『玩具箱』/ふしだらといふ香水のあらまほし/から、さらなる新境地へ」なのだそうである。

ところで、装幀もいい(和兎)。
 ともあれ、いくつかの句を以下に挙げておこう。

   バス停にバス待つやうに春を待つ
   ちゆんちゆんと小鳥ちよんちよんと木の芽
   山笑ふリフトから尻こぼれさう
   林檎ひた捥ぐしあわせを捥ぐやうに
   缶ビールくしやくしや阪神タイガーズ惨敗す
   愁いつつ人は老いゆく春の暮
   春愁や鏡の我にあかんべえ
   秋風やひつかけ橋は無国籍

 津田ひびき(つだ・ひびき) 1942年生まれ。


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