「オルガン」23号(編集 宮本佳世乃・発行 鴇田智哉)。恒例の座談会は「テン年代の俳句をめぐって」、メンバーは青木亮人とオルガン同人諸氏。平成以後の俳句表現の傾向を論じて、興味深い視座が様々語られている。それを領導するかたちで、
青木 たとえば、俳句史的に現在の状況を捉える際、個々に句についての善し悪しと異なる枠組みで作品を捉え直し、時代認識や俳句史観とともに語る必要があるように感じます。
と、始まって、「オルガン」メンバーの実作も踏まえながら、最近の俳句状況を描き出してくれているので、愚生には、ああ、そういうことかと、結構説得力があった。読者諸兄姉におかれては直接あたられたい。ここでは、「オルガン・連句興行 巻拾壱」の初折を以下に紹介しておこう。まずはその留書から・・・。
今年七月二十七日、北野抜け芝こと北野太一さんが、素粒社という出版社を設立されました。北野さんといえばこれなで、浅沼璞『俳句・連句REMIX』、福田若之『自生地』、小津夜景『カモメの日の読書 漢詩と暮らす』などを編集、これらの本を手にとられた方はその、新鮮でユニークなありように、思いあたるところがあるかと。(中略)
「オルガン」一同、素粒社の設立をよろこび、連句を巻くことにいたしました。
オン座六句「すゝきから」の巻
若之・捌/抜け芝・指合見
すゝきすこし出てゐてからだかな 北野抜け芝
雲払はれし素顔たる月 福田若之
大皿にうつるラベルのなめらかに 宮本佳世乃
テープ起しの声のさゝめく 鴇田智哉
空気より冷たい鳥の樹を祝ふ 田島健一
水銀灯がすごい元気だ 抜け芝
(以下略)
ニ〇ニ〇九月ニ七日・首
十月ニ七日・尾
於 立川ジョセイセンターアイム
ともあれ、本号より、以下に一人一句を挙げておこう。
赤をほどけば秋のかたちはなくなる 福田若之
高きに登る水上バスの上が空 宮本佳世乃
いま見えていない稲光と行くな 田島健一
コスモスのらせんが右へ逸れていく 鴇田智哉
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