2020年11月26日木曜日

杉本青三郎「飛んでいないと初蝶と見做さない」(第3回口語俳句作品大賞)・・・


  第3回口語俳句作品大賞(口語俳句振興会)は、11月23日(月・祝)に島田市「プラザ・おおるり」で最終選考会議を開催し、口語俳句作品大賞に、杉本青三郎「朝」が選ばれた。その他は、奨励賞として6名、鈴木和枝「自分への丸」、きむらけんじ「我が影」、細根栞「おつむてんてん」、黒瀬文子「足跡」、うとうこう「最愛」、堀部節子「月光」が選ばれた。

 詳細は、これから発表されると思うが、杉本青三郎は「豈」の仲間でもあり、嬉しいかぎりだ。以前の口語俳句協会のときの大賞には、同じく「豈」の羽村美和子が受賞していたように思う。縁があるというべきか・・。ともあれ、受賞作のなかからいくつかの句を以下に挙げておこう。


   森中が泡のかたまり鳥交る       杉本青三郎

   私が私を探す部屋に啓蟄

   春泥の青は詩人がみな盗む

   時間になると滝になる少女たち

   ゲルニカに音を加える大夕立

   河骨の黙視すみずみまでまひる

   シェスタの唐黍畑から戦車

   葉牡丹が空を回してくる朝


  愚生も選考委員の一人だったので、手許に応募稿がある二位と三位の方の句を挙げておこう。


   一番膝が老いている歩行者天国       鈴木和枝

   これ以上望まない田水ひたひた        

   子の画用紙からキリンはみ出る五月   きむらけんじ

   職にない手を子が繋ぐ            

   くちなわがくるぞ焦げくさくなるぞ      関根栞

   強がってみるがぽたぽた落ちる青栗     黒瀬文子

   名もない花はない名もない花がよい    うとうこう

   ときどきオスプレイ本家の鯉幟       堀部節子



      芽夢野うのき「うたかたならうたかたらしく舞う山茶花」↑

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