2020年11月4日水曜日

梶真久「船の木と名付けられては伐られけり」(『Picnic』No.1)・・・

 


 『Picnic』No.1(TAR^O冠者)、左ページ開けの横組みの句集である。俳句は1行縦書きという人には違和があるかも知れない。まあ、しかし、最近の若い人は、句を書き留めるのに横書きの人も多いようだから、読む際にもさして苦にならないのだろう。不思議だが、句の縦書きに読みなれた愚生には、明らかに読むスピードが落ちる。冒頭の、野間幸恵「5・7・5を企む『Picnic』に、

 なんで〈5・7・5〉?なのとよく聞かれます。私は偉そうに一瞬で言葉を破壊・構築する快感と言います。先日、感動することが有り、一気に作品を作りましたが、発表する「場」が無いことに気付きました。それなら作ろうと思い立ちましたが、閃きはよくても問題は山積みです。そんな時、経験値の高い友人たちがそれぞれの得意分野で手伝ってくれました。(中略)

  5・7・5がつくるマクロなミクロな世界へ


と、記してあった。ともあれ以下に一人一句を挙げておこう。


   木の瘤につまづくなんて空は青       中村美津江

   台風一過核ミサイルの聳え立つ       木村オサム

   ありえない角度で舌の根が乾く        月波与生

   国境にやっと天つゆいきわたる       樋口由紀子

   野の風に吹かれる穴もまた阿修羅       松井康子

   時間より零れる魚と日曜日          梶 真久

   こもりくへ白玉の白深くする        木下真理子

   残念の身元わからぬ流し台          榊 陽子

   はからずものすとらだむすをひとぐるひ  あみこうへい

   しあわせにすると言うコロッケのくせに   広瀬ちえみ 

   九紫火星プラスチックな忘れもの       石田展子

   月の石うらもおもてもないるーる       野間幸恵



        撮影・鈴木純一「コスモスの花占いはキライから」↑

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