1986年5月10日↑
十日、例のフィルビ-事件に想を得た、M・バー=ゾウハ―『真冬に来たスパイ』はB級作。
スパイ小説が徹底しないのは精神を扱はないからだ。ただし、社会機構と犯罪の息遣ひの実在感がこれを救ってゐる。
吊り橋ほどの夏、空理微論を攫へり 阿部鬼九男
*『黄山房日乗』へ35年後の剽窃譚・・・
5月10日(月)・・・晴
フィルビ―事件とは、キム・フィルビ―(1912・1・1~1988・5・11)がイギリスの秘密諜報部(M16 )職員で、ソ連情報機関(NKVD・KGB)の協力者。二重スパイであることが発覚しソ連に亡命した(1963年)。1965年にソ連政府から赤旗勲章を授与されている。1968年,KGB監修のもと回顧録『My Silent War』を出版(邦訳『プロフェッショナル・スパイー英国諜報部員の手記』(笠原佳雄訳・徳間書店、1969年刊)。1980年レーニン勲章を授与され、ソ連が崩壊する直前、1988年にモスクワで死去。
マイケル・バー=ゾウハ―『真冬に来たスパイ』(広瀬順弘訳・ハヤカワ文庫、1986年4月刊)の「訳者あとがき」には、『多少ストーリーの展開という点で、これまでの作品ほどの派手さはないが、これは現実に起きた事件をかなり組み入れているため、その事実関係に動きを封じられたからかもしれない。(略)グレアム・グリーンも描いた”スパイたちを動かすヒューマン・ファクター“的な面もじっくり書き込まれていて、これまでとは一味違ったスパイ小説に仕上がっている」とあった。
裏切りの尾籠ならずや夏の椅子 大井恒行
撮影・鈴木純一「母の日の母の似顔絵目鼻なし」↑
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