1986年5月30日↑
三十日、現代俳句協会賞に、「未定勅語」を快調に飛ばす夏石番矢を推薦、票を投ず。採取地名、辞典で調査。
『グレの歌』の歌詞に、Gruften が Luften と誤植されてゐた。「墓場」から「天空」へ、この奇妙な誤植愛すべし。
白髪やつひに投機の花を降らし 阿部鬼九男
*『黄山房日乗』へ35年後の剽窃譚・・・
5月30日(日)・・・晴のち一時雷雨
のちに、1991年、夏石番矢は、戦後生まれ俳人としては初、しかも30歳代の若さで、第38回現代俳句協会賞を受賞する。その授賞前のこと、余談だが、選考委員の一人だった三橋敏雄が、言うともなく、「受けてくれるかなぁ」と愚生に呟かれた。当時、夏石番矢は受賞を拒否するのではないか、それくらい向こうっ気が強いと思われていたのだ。思えば、当時の愚生は、金子兜太の肝いりで創設されたばかりの現代俳句協会青年部の活動を夏石番矢と共にしていたから、尋ねられたのだろう。愚生は、「受けると思いますよ」と応えたのだった。また、夏石番矢は、澤好摩とともに、愚生も含めた「未定」の創刊同人でもあった。
『グレの歌』(ドイツ語:Gurre-Lieder)はアルノルト・シェーンベルクの初期の代表作。句中の「投機の花」は、この場合は、禅的な悟りを開くことか。
アンガジュマンの咳をしながら聖五月 大井恒行
撮影・鈴木純一「月一日四葩見ひらくこひはさみし」↑
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